リースには節税効果があると営業マンに言われた
Q: | 車両を購入しようとしています。営業マンからはリースにすると節税になるので、リースがいいですよ、と言われたのですが、本当でしょうか? |
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最初に結論を書きます。
私は、今までにいろいろな車両リース契約を見てきましたが、
私が見てきた、車両のリース契約の中で、
購入よりも節税面から有利なものは、1件もありませんでした。
もちろん、
世の中の全てのリース契約を見たわけではないので一概には言えませんが、
私個人としては、
リースによる節税効果は「ない」
と思っておいたほうがいいと思います。
ただし、節税効果以外の部分で、
リース契約のほうが有利な可能性もあり得ますので、
リース契約が、全く意味がない、というわけではありません。
適宜、使い分けが必要です。
ローン、リースで節税効果が高いのはどっち?
まず、最初に、節税効果だけに限定をして話をしていきます。
以下に、非常に簡単にですが、
車のローン、リースの違いを簡単にまとめようと思います。
※参考に、現金購入の場合も表に入れておきます。
項目 | 現金購入 | ローン(割賦購入) | リース |
---|---|---|---|
所有権 | 利用者に移る | リース会社に残る | |
取引の法的効果 | 売買 | 賃貸借 | |
税務処理 | 売買処理 | 売買処理 または 賃貸借処理(注1) | |
償却年数 | 法律で決まった年数 (6年) |
契約期間 (通常は5~7年) | |
償却方法 | 定率法償却 | 定額法償却 | |
税金・修繕費等 の負担者 | 利用者 | リース会社 ※契約による | |
金利負担 | なし | あり |
※ローン:第三者からお金を借りて、車を購入
※リース:第三者から車を長期間、かつ、解約不能な状態で借りる
※注1:賃貸借処理をしても費用計上額は変わりません。
節税効果を見る場合には、上の表の、
償却年数、償却方法を比較して、
どちらが有利なのかを判断することになります。
その結果ですが、
ローンの場合だと「定率法償却」ができ、
償却費が早いタイミングで計上できるため、
節税効果だけで見れば、ローンのほうが常に有利です。
ですから、
ローンとリースを比較した場合に、
(税金、修繕費等負担まで含めた)総支払額が変わらないという前提であれば、
ローンのほうが税務上は有利
ということです。
結局、「リースのほうが税務上有利」というのは、デマです。
リースには、税務上のメリットはありません。
私にご相談頂いたお客様の場合、
営業担当者から、
「リース契約にすると、賃借料をそのまま経費にできるので節税効果がありますよ!」
と言われたそうです。
でも、上の表の注1で書いた通り、
賃借料をそのまま経費処理できても、節税効果は大きくありません。
現金購入、ローン・リースはどれが有利?
上で見たとおり、リース契約に節税効果はありません。
ではリース契約はしないほうがいいのか?
というと、そこは微妙なところがあります。
考慮すべき事項としては、次の3つがあります。
- 資金的余裕があるか?
仮に、向こう数年間くらい、
お金を借りないでも会社を運営できる見込みがあるのであれば、
金利負担がもったいないので、現金購入がいいと思います。逆に、お金を借りざるを得ないようであれば、
ローンかリースのいずれかから選ぶことになります。- 総支払額が低いのは?
ローン、リースのどちらかを選ぶポイントは、
「総支払額はどちらが低いか?」です。といっても、
単に、ローンとリースの返済額を比べるだけではダメで、
各種税金、修繕費等の費用負担や、
リース期間終了後の再リース料などを考慮に入れて、
比較をする必要があります。将来、何が起きるかわかりませんので、
総支払額を比較する、といっても限界はありますが、
まずは、比較検討してみることが重要です。そして、総支払額が少なくなる方を選択すれば間違いはないでしょう。
- 事務処理を簡略化したいか?
仮にリースのほうが割高であったとしても、
リースのほうが、社内業務が簡便で済む場合があり得ます。そのメリットがコストを上回る、というのであれば、
リース契約をしてもいいと思います。
これらを判断材料として、
現金購入・ローン・リースのどの形態がいいか、
検討をしてみてください。
- 顧問契約についてのQ&A
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- 無申告・複数年申告についてのQ&A
- 会計処理についての一般的なQ&A
私のお客様にインタビューをして、ありのままの意見をお寄せ頂きました。
まずは、ご覧ください!