販売価格の設定に役立てるための原価計算
その販売価格で本当に儲かっていますか?
販売価格の設定は、会社にとって非常に重要なポイントです。
どんなにたくさん商品・製品が売れたとしても、原価割れならば売れば売るだけ損をすることになります。
原価割れでないとしても、販売価格の設定が低ければ忙しいだけで儲からない、ということにもなりかねません。
ところが、製造業の場合、本当の原価がいくらなのかがわからないことが多いため、その商品が儲かっているのかどうかがわからない、というケースがあります。
売上は上がっているのに利益がついてこない、という場合には、本当の原価がいくらなのかをつかむために原価計算をする必要があります。
原材料費をつかむ
原価計算の手始めとして、原材料費をつかむ必要があります。
税務計算のためには、期末に棚卸をして払出量を逆算することだけで十分な情報が得られますので、このようにして、原価の金額を計算している会社も多いと思います。
でも、これだけの情報では、原価計算をしたことにはなりません。
なぜかというと、どの製品に原材料をどれだけ投入したかがわからないからです。
一種類の製品しか作っていないのであれば、これでも十分かもしれませんが、複数の種類の製品を作っている場合には、製品毎の原材料投入量を知る必要があります。
そこで、原材料費をつかむためには、生産する製品毎に、原材料払出量を記録しておく仕組みを作る必要があります。
そうすることで、 実際に、その製品を作るのにどれだけの原材料を使っているのかが数値で明らかになります。
労務費・経費をつかむ
次に、労務費・経費について製品毎の投入量を把握します。
これらの費目については、原材料費ほど、製品との明確な対応関係がないことも多いので、ある程度の仮定計算により計算する必要があるかもしれません。
ここは、情報収集に係るコストと、その効果を見極めながら、どこまで情報収集をするかを経営者が決める必要があります。
例えば、労務費・経費の占める割合が少ない業種ならば、売上高の比で計算するといった、超簡便的な方法でもいいかもしれません。
逆に、労務費・経費が重要な場合には、製品の生産にかかる時間・延人数等の情報を取れるような仕組みを作らなければいけないかもしれません。
税金計算よりも原価計算に力をいれる
このように、とにかく、製品をひとつ作るのにいくらお金がかかっているのか?を把握することで、どの製品が利益を生んでいるのかが見えるようになってきます。
この仕組みができあがり正確な原価がわかるようになると、今までの経営がいかに、まるで目隠しをされているような状況で意思決定をしてきたかを実感できると思います。
経理業務のような間接部門の業務は極力省力化するにしても、原価計算のような本当に経営に役立つ部分については、多少業務量が増えても詳細なデータを収集・集計をすることをおすすめします。
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