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決算期の戦略的な決め方

決算日を決めるにあたっては、いくつか、考慮すべきポイントがあります。

1.資金繰り
2.消費税
3.業務負荷
4.決算書の見た目
5.その他

決算期はこれらの要因を考慮しながら戦略的に決めてください。

資金繰りの観点

決算日程は、資金繰りに影響を与えます。

というのは、決算日後2ヶ月以内に法人税等の納税をする必要があるからです。

また、利益水準が上がってきた場合には、決算日の8ヶ月後(半期決算の2ヶ月後)にも、法人税等の中間納付をする必要があります。

税金納付のタイミングに、他の支出要因が重なってしまうと、資金繰りが大変になってしまいます。

ですから、多額の支出が見込まれている月に、決算に係る納税が重ならないように決算期を設定することが望ましいのです。


■資金支出に偏りが生じる可能性のある例

・雇用保険料の支払い
5月20日

・預かり源泉徴収税の支払い
特例納付の場合には7月10日、1月20日

・従業員への賞与(ボーナス)
一般的には6月、12月頃に支払いが行われる

・借入金の返済
毎月返済でない場合には、返済月に多額の支出が発生します

・売上に季節変動がある会社
売上が上向く前後に支出超過になる傾向にあります

・官公庁からの支払いに頼っている会社
入金は年度末である3月直前に集中する傾向があります。そのため、その入金直前には資金繰りが苦しくなるかもしれません


これらの支出タイミングをはずすように、決算期を決めると資金繰りが楽になることが多いです。

消費税の特例の観点

資本金1,000万円未満で会社を設立すると、会社設立後最長2年間は消費税の納付義務が免除されます。

というのは、消費税の納税義務は、通常は2年前の売上高を基準にして決定されるからです。

会社設立後2年間までは、2年前の売上高が存在していないため、例外的に、消費税の納付義務が免除されているのです。

利益が出ている会社で設備投資が少額の場合、消費税の納付義務が免除される=節税、となるケースがほとんどです。

ですから、消費税の納付義務が免除される期間を伸ばすほうが得になります。

上で書いたとおり2年前の売上高がない限りは消費税の納付義務は免除されます。

ですから、一般的なケースを前提にすると、消費税の納税義務が免除されている状態をできるだけ長くするためには、1年目の決算期を1年間にして、設立日の1年後を決算日にすることが望ましい、ということになります。

業務負荷の観点

決算前後には、決算作業や棚卸等、特別な業務が生じるため、業務負荷が高まります。

ですから、本業が忙しい時期に決算を迎えてしまうと、本業が忙しいは、決算作業も忙しいはで大変なことになります。

ですから、決算期は本業が忙しくない時期に設定することをおすすめします。

なお、決算日には原則として、実際に在庫を数える棚卸という作業を行う必要がありますので、在庫数量に季節変動がある場合には、在庫の数が少ない時期に決算期を設定すると、棚卸も楽になります。

決算書の見た目を良くするために

売上等に季節変動がある会社の場合、決算書の見た目は月毎に全く違ってきます。

このような場合、売上が上がる直前の月次決算においては、在庫や借入金が膨らみ、現預金が少なくなる傾向にあります。

このような決算書を見せられると、

・借入金に比べ現預金が少ない
・売上の割に在庫が多い

など、一般的にマイナス評価を受けてしまいがちな決算になってしまうため、銀行借入等で不本意な結果になる場合もあります。

実態は一緒なのに、決算期の選択が悪かったため、マイナス評価をされてしまうのは避けたいですよね?

ですから、決算期は見た目が綺麗になるように選んでください。

どういう決算が綺麗なのかというと、単純に言えば現預金以外の資産・負債ができるだけ少ない決算書、ということになります。

その他の観点

上記で挙げた以外にも考えなければいけない事項、というのがあります。

例えば、情報収集の観点です。

世の中に出回っている情報は、ほとんどが3月決算を前提とした情報です。

ですから、3月決算以外の決算期にしてしまうと、税法・会社法等をどのように適用すればいいのかが簡単にはわからない、ということもあり得ます。

特に、自力で決算・申告をしよう、という考えを持っている場合には、3月決算にしておかないと手も足も出ない、ということになりかねませんので、ご注意ください。

また、会計事務所に決算・申告をお願いする、という場合に、夏場(7月〜9月あたり)を決算期にしておくと、決算の時期が会計事務所の閑散期にあたるため、3月決算よりも手間暇をかけて作業をしてくれる可能性があります。

ですから、会計事務所に依頼予定の場合、決算期に迷ったら夏場を決算期にする、という選択は充分にあり得ると思います。

結局、決算期は、上で書いたようなことを総合的に判断して決定する必要があります。

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